蒟醤(きんま)

「蒟醤」の起源はタイ、ミャンマーにあり、室町中期にわが国に伝来されました。蒟醤は竹や木の素材の上に黒漆、または何回も塗り重ねた中塗の上面を刀(ケン)で文様を線彫りして、そのくぼみに色漆を充填する技法で一種の漆による象嵌です。漆の面を彫るという点では沈金と似ていますが、朱漆、黄漆など色ごとに彫り上げ充填する作業を繰り返し、全ての充填が終わると表面を平らに研ぎ出す独特の技法です。香川漆器の先駆者 玉楮象谷が完成させたキンマ技法は、弟の藤川黒斎が受け継ぎ、香川のキンマ漆器の技として、確立しました。その格調の高さと華麗な文様は、香川漆器の王者といえます。昭和30年に故 磯井如真が蒟醤の技術保持者として人間国宝に認定されて以来、香川から磯井正美、太田儔、そして新たに山下義人が認定され、4人の人間国宝を排出しています。現在、蒟醤の技法を生かした作品は日展や伝統工芸展などに数多く出品され、美と技を競っています。